tawara's blog

雑記。個人の見解です。

伊岡瞬『145gの孤独』を読んだ

皮肉やくだらない冗談をことあるごとに吐く男。自分の傷を自覚していて、それに向き合うことに目を反らしつつも、向き合う覚悟は持っている男。 困難な状況でも自らを律するための肉体的な習慣を持っている男。そして相手の心の底を想像し、行動してしまう男。そんな男が主人公だ。「そうそう、こういう人間が好きなんだよなー」と読書しているときに何度も思った。くだらない冗談を言い続けたい。困難だらけのしんどいつまらない現実に向き合うための気力・体力を温存するには、現実を茶化して冗談を叩く以外に方法はあるのだろうか。

そして主人公は奇妙な状況にだんだんと引き込まれる。小学生の息子とスポーツ観戦に行って欲しいという依頼、空港まである女性を送り届けて欲しいという依頼、泊まり込みの書類の整理を頼まれる依頼、そして海に散骨するのに付いてきて欲しいという依頼。その依頼には秘密がある。それは誰にとっての秘密なのか。その秘密を知っているのは誰なのか。読者は夢中になってページをめくるだろう。そして主人公の秘密もやがて、、、

とても面白かった。ハードボイルド小説って昔から好きなんだけど、こういう物語が好きなんだよなーと気持ちよく読めた。主人公や登場人物も魅力的だが、話の展開にも十分魅せられる。そっちの展開に発展するのか。うわー予想してなかったー。面白いー、となる。

魅力を感じる人物像には次の特徴があることに気づいた。1 誰でもいつでも冗談だらけ、 2 地味な習慣を大切にしている、3 優しい、 4 タフ、 5 自分の弱みに向き合っている。ルパン三世とか好きだけどほとんど当てはまっている気がする。いまの自分には、2,4,5 が特に足りないかなー、なんて思った。

とてもおすすめできる一冊。最近は伊岡瞬の本ばかり読んでいる。

(了)