tawara's blog

雑記。個人の見解です。

仕組みを知りたい、利用したい。大いにふざけたり、より良く生きたり、人にやさしくするために。

仕組みを理解したい欲求が強い、ということを唐突に思った。そして仕組みを利用して何かを達成したいと思っているのだ。これが僕の現在の根本的な生きる楽しみなのだ。仕組みを理解すること、とそれを使って何かをすること。この2つで好きなことや興味のあることを解説できる。

名探偵夢水清志郎事件ノートシリーズを筆頭に推理小説が好きだった。事件や犯罪のトリック(仕組み)、動機(心理と行動の仕組み)、そして夢水清志郎はすべての仕組みを見通した上で、事件を解決する。ときにはすべてを明るみにしない。そのほうが事件関係者の「幸せ」を達成できるからだ。小学生のときにその姿勢に感動したのを覚えている。

小説を読むことが好きなのも仕組みを理解したい欲求に応えるためだった(他にも理由はあるとゴーストはささやく)。世の中の仕組みや人間関係の仕組みが時と場所を超えて表現される。そしてさらに小説家はその物語という装置(仕組み)を利用して、誰かに何かを伝えようとしている(はず)。物語を読みたいし、著者の主張も気になるので本を手にとってしまうのだ。宗教への興味関心も似たような構造だと思う。

いろんな仕組みを理解して、それを利用して何かしたい。よりよく生きる、人にやさしくする、いい意思決定をする、とか。大いにふざける、も好き。それらのために読書をしてる。というか生きている目的なのかもしれない。

仕組みを利用する、についてはイメージがある。テコの原理のように、自分がその仕組みを活用することで何倍もの成果が出ることだ。まず指揮者。オーケストラを用意して、それぞれの楽器の音を効果的に組み合わせることで、単純な音の和ではなく、重層的な深い音を作り出し、構成に組み立てることで聴衆を感動させる。指揮棒を振るだけで実現している! もちろんその難易度がはるかに高いことは知っている。

『掏摸』という中村文則の小説に出てくる悪役がいる。そのなかで確かこんなことを言う。最も純粋な悪とは、その本人がよかれと思ってすすんでやっていることが結果的に悪に染まるように、本人に気づかれることなく仕向けることだ。読書しているときは、悪いなー、と感心した。悪に手を染める気はないが、この仕組みは使えると思った。いろいろと仕込むことで、自分は最小の関わりで、最大の良いこと・ふざけたことを達成できるじゃないか、と。テレ朝の「スペシャリスト」という刑事ドラマには、犯罪計画を立案して売る囚人がいた。そういうのもクールだと思った。黒幕、とかかっこいい。

エンジニアの文化にも近しいものがる。クソアプリ文化だ。極上の仕組みを利用して、大いにふざけたことをする。この業界に転職した理由のひとつだ。

仕組みの利用については、別業界に仕組みを持ってくる、というのにワクワクする。詩学の仕組みを社会学に、建築の仕組みをソフトフェア業界に(デザインパターン)、数学の仕組みを社会学になどなど。その距離が遠いほど驚きがあっていい。哲学は仕組みについて徹底的に論理的に突き詰めるから興味を引くんだろうな。

仕組みを知りたい、利用したい。大いにふざけたり、より良く生きたり、人にやさしくするために。そういうことが好きなんだ、と32歳の夏の終わりに思ったという記録。

(了)