tawara's blog

雑記。個人の見解です。

銀河英雄伝説の小説を10巻全て読んだ。組織の勉強になった。

銀河英雄伝説の小説を読んだ。文庫本で本伝10巻、外伝5巻の大作だった。読んでとてもよかった。 もっと早くに出会っていたら物事の考え方が変わっていただろうとも思えるくらいインパクトがあった。

何が面白かったのか? 気になるセリフをドッグイヤーしていたのだけれど、多すぎるのでとりあえず思いつくままに感想を書く。

腐敗した専制国家を改革しまくる軍事・政治の天才かつ絶世の美貌の持ち主であるラインハルトと腐敗した民主主義国家に振り回される戦争嫌いの戦略・戦術の天才ヤン・ウェンリーの国家同士の戦争を中心に、第三勢力として経済国家フェザーン、過激派の宗教『地球教』などが物語を引っ掻き回す。読み出すと止まらない。この戦い、物語の結末はどうなるのか?、その好奇心だけでページをめくる手がとまらない状態になる。また魅力的な振る舞いをする登場人物が多く、そしてその登場人物たちの行く末もまた読者を裏切る、あるいは深く感心する。

途中から組織論の見本市として読書を楽しんだ。組織のなかで生きる上で起こりうる教科書として読める。無能な上官、裏切り、燃え盛るエゴイズム、実績なき弁舌家、陰謀などなど。著者の田中芳樹はかなり歴史を勉強されているのだろう。古今東西の戦争、組織にかなり精通されている印象を受けた。有史の戦争・組織のエッセンスを凝縮した見本市ともいえるはずだ。

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以下印象的だったこと。

  • 用兵の基本は、敵より多くの軍艦を揃え、戦場を高速に移動し、敵を各個撃破すること

    • 奇をてらうことは悪手であると教えられる。組織に置き換えることもできる。多くのリソースを揃えること、そのリソースを適切に管理をして、素早く凝集すること。そして問題は分解して、一つずつ解決していくこと。このようなことはビジネス本にも書いてあるだろうが、いざ戦争となればリソースはすなわち人命である。同じ知識でも文脈が異なると深く腹落ちする、というやつだ。
  • 無能な上官はほんとにやばい

    • 負けることが確定した状況で、武人として誇りあるいは門閥貴族としての名誉などで上官が玉砕命令を下すシーンが何度もある。こんな人の下では絶対働きたくない、という具体例を知ることができてよかった。部下としては武力で制圧する、逃げるなどの選択肢があるので、それを行使せねば。
  • 何かを為すには組織が必要。ひとりじゃできないと思う。

    • 終盤に物語として全面に出てくるが、読書中にも気づいた。登場人物は全員組織で動いている。どれほど頭がよくてどれほど強くても。善でも悪でも。これは重要な原理だとあらためて思った。組織を作るにはミクロでは対面の人間関係構築、マクロでは組織同士の関係構築の術が必要になる。
  • 民主主義的組織か専制国家的組織のどっちがよいのか

    • 命令絶対は嫌なので民主主義的組織のほうで働きたい。が、意思決定の速さでは専制国家的組織にやはり分がある。国家レベルの悪の掃除で後者が活躍するシーンがある。
  • 小さい組織なりの戦い方がある

  • 人は死ぬ

    • まじで死ぬ。ほんとに死ぬ。戦争映画を見るたびに思う。

とりあえず書いたけど、もっと学習できることがあったので、思い出したら書く。

(了)